
配偶者の不貞行為(不倫)が発覚した際、必ずしも高額な慰謝料が認められるわけではありません。
法的には「婚姻関係破綻の抗弁」のように支払い義務そのものを否定する主張や、諸事情を考慮して金額を抑える「減額事由」が存在します。
不貞慰謝料問題に精通した鹿児島あおぞら法律事務所の弁護士が、実務上の基準を詳しく解説します。
不貞行為があったとしても、その時点で夫婦関係が既に修復不可能なほど壊れていた場合、法律上保護すべき「婚姻の平穏」が存在しないとみなされ、慰謝料の支払い義務が生じないことがあります。
裁判所は、単なる主観的な不仲ではなく、以下のような客観的事実を総合的に考慮して破綻の有無を判断します。 ・別居の期間と理由:単身赴任などの正当な理由がない長期の別居(一般的に数年以上)。
・離婚に向けた具体的な動き:既に離婚調停を申し立てている、または弁護士を介して離婚協議中であること。
・家計の完全な分離:生活費のやり取りがなく、経済的にも協力関係が途絶えていること。
一方的な「性格の不一致」や「会話が少ない」といった程度では、同居している限り、裁判所が婚姻関係の破綻を認めることは極めて稀です。
婚姻関係が破綻していなかったとしても、不貞行為に至った経緯やその後の対応によって、慰謝料の額は大きく変動します。
不貞関係が短期間(例:一度きり)であれば減額の方向に、長期間(例:数年以上)にわたり頻繁に会っていた場合は増額の方向に働きます。
夫婦間に未成年の子供がいる場合、不貞行為が家庭環境に与える悪影響が考慮され、慰謝料が増額される傾向にあります。逆に、子供がいない、または既に成人している場合は、相対的に低くなることがあります。
不貞が原因で離婚に至った場合は、精神的苦痛が大きいと判断され慰謝料は高額になります。
一方で、不貞発覚後も夫婦関係を継続し、離婚に至らない場合は、慰謝料の額は抑制されるのが一般的です。
不貞相手が早期に非を認め、誠実な謝罪を行っている場合や、既に一定の解決金(示談金)を支払っている場合は、裁判上の慰謝料額から減額される要因となります。
不貞行為を誘ったのがどちらか(配偶者側か、不貞相手側か)も重要です。
不貞相手が配偶者から強く誘われて断りきれなかったようなケースでは、不貞相手の責任が相対的に軽減されることがあります。
不貞相手が「既に夫婦関係は終わっている」「離婚前提で別居している」と嘘をついていた場合、不貞相手に「既婚者であると知っていたことに対する過失」がないと判断されれば、慰謝料が発生しない、あるいは大幅に減額される可能性があります。
ただし、SNSで家族仲睦まじい投稿がある、結婚指輪をしている、自宅に電話をかけて配偶者が出たことがあるなど、既婚であることを認識できたはずの事情がある場合は、過失が認められます。
不貞慰謝料の問題は、感情的な対立が激しく、当事者同士の話し合いでは解決が困難です。
鹿児島あおぞら法律事務所では、不貞の証拠(写真、メール、GPS記録など)を精査し、裁判所の過去の判例に照らして適正な慰謝料額を算定します。
過大な請求を受けている場合には、減額事由を適切に主張し、不当な支払いを防ぎます。
鹿児島地方裁判所や鹿児島家庭裁判所における不貞問題の運用実績に基づき、地域に即したアドバイスが可能です。代表弁護士が直接対応し、プライバシーを守りながら迅速な解決を目指します。
まずは費用の心配をせずにお話しください。個室での対応となりますので、秘密が漏れることはありません。
執筆者:鹿児島あおぞら法律事務所 代表弁護士 犬童正樹
参照・引用文献・サイト
法務省:民法(不法行為および離婚)の規定 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00212.html
裁判所:不貞行為に基づく慰謝料請求事件の判例(最高裁判所 昭和54年3月30日判決) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52140 (※婚姻関係破綻の抗弁に関する基本的判例)
裁判所:離婚に伴う慰謝料請求の調停 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kasi/kasi_03_07/index.html
日本弁護士連合会:男女問題・不倫に関するトラブル解決 https://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/divorce.html
鹿児島地方裁判所:本庁および管内支部の所在地 https://www.courts.go.jp/kagoshima/about_tiho/kankatsu/index.html
専門実務資料: 「離婚慰謝料の算定基準と実務」(弁護士による判例分析資料) https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/special_theme/data/family_law_practice.pdf
最高裁判所:第三者による不倫と慰謝料(最高裁判所 平成8年3月26日判決) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52253
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