
遺産分割を円滑に進めるための第一歩は、「何が、どこに、どれだけあるのか」という財産の全体像を正確に把握することです。しかし、実際のご相談では「亡くなった親が秘密主義で、どこに貯金があるのか全くわからない」「実家以外に山林があるらしいが場所が特定できない」といったケースが非常に多く見受けられます。
遺産が不明なまま遺産分割協議を行ってしまうと、後から大きな財産が見つかって協議をやり直したり、逆に多額の借金が発覚して相続放棄の期限を過ぎてしまったりといった重大なリスクを招きます。本記事では、相続問題に強い鹿児島あおぞら法律事務所が、専門的な遺産調査のノウハウを余すところなく解説します。
遺産分割は、いわば「ケーキ(遺産)をどう分けるか」という話し合いです。しかし、ケーキの大きさがわからないままでは、誰がどの程度受け取るべきかの判断ができません。特に以下のケースでは、徹底した調査が不可欠です。
相続の実務において、財産調査を疎かにすることは、将来の紛争の火種を放置することと同義です。専門家である弁護士は、単に書類を集めるだけでなく、隠された財産の痕跡をプロの視点で分析し、適切な分割の土台を作ります。
現金や預貯金は、最もトラブルになりやすい財産です。単に残高を確認するだけでなく、過去の「動き」を追うことが実務上のポイントです。
通帳やカードが見当たらない場合でも、鹿児島に住んでいた方であれば、まずは以下の金融機関に「口座の有無」を確認(名寄せ)することから始めます。
これらの窓口で相続人としての権利を証明(戸籍謄本等の提示)すれば、残高証明書の発行や全店照会が可能です。鹿児島あおぞら法律事務所では、これらの地元金融機関の相続手続きに精通しており、迅速な照会をサポートします。
残高証明書だけでは、「亡くなる直前の多額の引き出し」を見逃してしまいます。弁護士が介入する場合、直近5年〜10年程度の取引履歴を取り寄せます。ここから、公共料金の引き落とし先、生命保険料の支払い、別の銀行への送金履歴などを分析し、芋づる式に他の隠れた財産を見つけ出します。また、使途不明な多額の出金がある場合、それは「不当利得返還請求」や「特別受益」の主張につながる重要な証拠となります。
近年急増しているのが、通帳のない「ネット銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行など)」や「証券口座」です。これらは郵送物が届かないため、被相続人のスマートフォンやパソコンのメール受信履歴、閲覧履歴を精査し、ログイン情報を探るなどの特殊な調査が必要になります。また、暗号資産(仮想通貨)の有無についても、取引所からのメールや銀行口座との入出金履歴から推測します。
不動産は、自宅以外にも「実は持っていた山林や農地」が後から見つかり、トラブルになるケースが多い項目です。
固定資産税の通知書(納税通知書)に記載されているのは、課税対象の物件のみです。非課税の道路や評価額の極めて低い山林などは記載されないことがあります。そこで、市区町村役場で「名寄せ帳(所有者別土地建物台帳)」を取得します。これにより、その自治体内に持つ全物件を網羅的に把握可能です。
物件が特定できたら、必ず法務局で「登記事項証明書」を取得します。ここで、明治・大正時代の古い名義のままになっていないか、共有者がいないか、身に覚えのない抵当権(借金の担保)がついていないかを確認します。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が法律で義務化されました。不動産の取得を知った日から3年以内に登記を行わないと、10万円以下の過料に処される可能性があります。「場所がわからないから放置する」ことは、法的なペナルティに直結するため、調査の緊急性が非常に高まっています。
参照URL:法務省:不動産登記法の改正(相続登記の義務化について)
遺産はプラスのものだけではありません。調査を怠ると、後から多額の借金が発覚し、相続放棄の期限を過ぎてしまうリスクがあります。
相続放棄を検討する場合、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という短い期間内に家庭裁判所へ申述しなければなりません(民法915条1項)。そのため、負債調査はスピードが命です。
参照URL:e-Gov:民法第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)
生命保険金は受取人が指定されていれば遺産分割の対象外(受取人固有の財産)となりますが、相続税の申告対象にはなりますし、全体的な公平性を考える上でも把握が必要です。現在は、「生命保険契約照会制度」を利用することで、国内のほぼ全ての生命保険会社に対し、契約の有無を一括で問い合わせることが可能です。
参照URL:一般社団法人生命保険協会:生命保険契約照会制度
個人で各窓口を回るのは、多大な時間と精神的負担がかかります。弁護士に依頼することで、以下の強力な手段を行使できます。
弁護士は、受任した事件について、弁護士会を通じて行政機関や銀行、企業等に対して情報の開示を求めることができます(弁護士法第23条の2)。例えば、特定の金融機関における口座の有無だけでなく、保険会社への契約状況や、場合によっては携帯電話会社への住所確認など、調査の幅が格段に広がります。
参照URL:日本弁護士連合会:弁護士会照会制度について
遺産分割調停や審判に発展している場合、家庭裁判所が当事者の申し立てに応じて、第三者へ情報の提出を求める手続きです(家事事件手続法第62条)。裁判所からの依頼であるため、非常に高い回答率を誇ります。
参照URL:e-Gov:家事事件手続法第62条(事実の調査及び証拠調べ)
遺産調査は単なる作業ではなく、「使い込み」や「隠し財産」を見抜くための専門的な分析力が問われるプロセスです。鹿児島あおぞら法律事務所では、相続診断士の資格を持つ代表弁護士が、専門的な視点から漏れのない調査を実施し、適正な遺産分割を目指します。
「隠し財産があるかもしれない」「どこに何があるか見当もつかない」と不安を感じている方は、ぜひ一度、当事務所へお越しください。鹿児島の皆様の権利を守り、納得のいく相続をサポートいたします。
無料相談予約は
1 電話予約(平日9時~18時)
2 LINE予約
3 メール予約
執筆者:鹿児島あおぞら法律事務所 代表弁護士 犬童正樹